第7回 レスポンデント条件づけ
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1. 連合という考え方
何かと何かとが関連する、結びつくこと
以下の条件づけの総称
連合
一つは
もう一つは
ある刺激に別の刺激が時間的に接近して提示されるという経験をすることによって、反応の強度や頻度や潜時が変化すること
ある反応を行うとその反応に対して環境が変化するという経験をすることによって、反応の強度や頻度や潜時が変化すること
レスポンデントとオペラントという用語はスキナーによって作られた 反射は刺激と反応とが一対一の対応関係にあるような単純なあるいは基本的な連合とみなすことができる 理論的には理解することは容易
概念の妥当性を考えると困難
理論的に厳密に考えると、
連合する何かと何かとは、同じ範疇(カテゴリー)に含まれる必要がある 方法論的に厳密に考えると、
連合するとは何かと何かとが関係することであるので、それを証明するのも容易ではない
その関係が相関関係であれば許容できる可能性は高まるが、因果関係であると著しく困難になるだろう 研究における操作化を前提にすると、随伴性という概念で整理することができる 2. 随伴性という概念
複数の事象間の関係
事象
連合「何かと何かとが関連する」
この「何か」とは事象のこと
関係
のいずれか
行動の原因を環境から分析して特定することを目指している
ある刺激に別の刺激が随伴するような操作を行うこと
ある反応に刺激が随伴するような操作を行うこと
ある先行刺激のもとで出現する反応に別の後続刺激が随伴するような操作を行うこと
ある先行反応に別の後続反応が随伴するような操作を行うこと
3. 「パブロフのイヌ」の実験
消化研究の際に発見
イヌはたまたま被検体だった
餌を与え、餌を食べるという行動→唾液分泌反応の際にメトロノーム音を提示していると、最終的にはメトロノーム音を提示するだけで唾液分泌反応が見られた 実験で操作された刺激や反応を整理
刺激
餌: 生物学的に重要な刺激
実験においてはイヌに餌を与えないで一定レベルの空腹の状態にしておくことも必要
確認すべきこと
餌を与えない時には唾液分泌反応が見られないこと
続いて餌を与え、その直後に唾液分泌反応が見られるか
その後餌を与えないと、ただちに唾液分泌反応が消失するか
もしも餌を見ただけで、唾液分泌反応が起こることが観察された場合には、そのイヌはすでに条件づけがなされたということになり、本実験の被検体としては妥当ではない
この観察の結果、餌を与えた時のみ唾液分泌反応が観察された場合
先行する無条件刺激は後続する無条件反応を誘発するelicitと言われる レスポンデント条件づけの操作のための実験
観察すべきこと
何も随伴性操作をしない、基盤となる状態
メトロノーム音を提示して、唾液分泌反応が見られないことを確認する
メトロノーム音の提示をしながら餌を与えるということを繰り返す
この操作の結果として、唾液分泌反応(と類似した反応)の出現確率が増加したことが観察されたとする
「と類似した反応」厳密には実験操作が終わっていないため
再度、ベースライン条件に戻す
メトロノーム音を提示するだけにして、餌を与えない条件で、唾液分泌反応の生起確率を観察する
最初は唾液分泌反応(と類似した反応)が見られるが、繰り返していくと次第に減少して最終的には見られなくなるということを観察することになる
この実験において
ここで条件刺激が条件反応を誘発すると言われる
研究における操作化ということで、実験における独立変数/従属変数をさまざまに変えることで様々な結果が得られている 随伴性操作において、中性刺激(介入して条件刺激となる)と無条件刺激との提示をどのようなタイミングで行うか
基本的には以下の4つが区別される
条件刺激を提示し始めると同時に無条件刺激を提示する
条件刺激と無条件刺激との提示が重なる、または条件刺激の提示終了と同時に無条件刺激を提示する
条件刺激の提示終了から一定時間をおいて無条件刺激を提示する
無条件刺激を先に提示してから条件刺激を提示する
条件づけの成立しやすさ: 遅延→痕跡→同時→逆行
様々な実験結果を総合的に評価した
中でも短い遅延条件づけが最も確実に条件づけが成立しやすい
逆行条件づけは極めて困難
2種類の中性刺激を使ったレスポンデント条件づけ
たとえば光と音を同時に提示して、その直後にたとえば電気ショックなどの無条件刺激を提示するという随伴性操作を行ったとする
この場合、光の条件づけが成立して、音の条件づけがあまり成立しないという現象がある
一方の刺激への条件づけが他方への条件づけを隠蔽した
先に光への条件づけが十分に成立したことを確認した後で別の中性刺激ということで音と光を同時に提示して、電気ショックを提示するという随伴性操作を行ったとする
この場合、後から追加した音への条件づけはほとんど成立しなかったという現象がある
最初の条件づけが後から追加した条件づけを阻止した
4. ワトソンの恐怖条件づけ
ワトソンの有名な研究
レスポンデント条件づけと捉えることができる
実験概要
11月の幼児に対して、白いラットやウサギ、毛皮のコートなどの刺激を提示して、何も情動反応が起きないことを確認しておく その後、白いラットを示すのと同時に幼児の背後から金属の棒を叩いて大きな音を聴かせてその幼児に恐怖反応が引き起こされることを確認した この実験の後、幼児は白いラットだけではなく、それに似ているウサギや毛皮のコートなどにも恐怖反応が引き起こされるようになった
ワトソンの主張
この実験は…
現代では倫理的にアウト
恐怖などの情動反応がレスポンデント条件づけによって成立していることを示しているという点では大きな意味を持っている
5. 味覚嫌悪学習
短い遅延条件づけが最も効果的
その後の研究によってこの知見を再考するきっかけとなった現象が見出されている
ラットに甘いサッカリンをなめさせた後に、X線照射ないし毒物投与を行って、ラットの気分を悪くするというような随伴性操作を行うと、ラットはサッカリンを避けるようになる 通常のレスポンデント条件づけよりも厳しくしても条件づけが成立することを見出した
サッカリンと毒物投与との対提示をわずか数回にする
サッカリンと毒物投与との時間間隔を1時間以上あける
別のラットを被験体とした実験で、条件刺激と無条件刺激との組み合わせで、レスポンデント条件づけの成立の仕方が異なることを見出している
2群(摂取中に照射)
サッカリン入の水
無味の水+ 光点灯 + クリック音
条件づけ後の水の摂取量の変化を測定した
サッカリン入りの水の群では条件づけ前と比較して少なくなった
光と音が提示された群では条件づけ前と比較して違いがなかった
X線と同じ設定の2群
条件づけ後の水の摂取量の変化
サッカリン入りの水の群では減少しなかった
光と音の群では減少した